不動産契約書,ポイントは3つだけです。
不動産契約書,3つのポイントを押さえましょう
先日,当社第1号仲介物件として買主が内定した松森町中古住宅ですが,この物件は引き渡し時期が現時点においては未定となっています。
家主さんが新居に引っ越ししてからの物件の引き渡しという段取りなのですが,肝心の新居のほうは,まだ仕様設計途中の段階のためです。
もちろん,買主として内定しているお客様にたいしては事前に,年明けの1~2月頃に物件の引き渡し時期となる予定であることを説明していますし,了解もいただいています。
でも,物件引き渡しまで,かなりの長期間お待ちいただくことになるのは事実です。
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どちらにしても,物件の売買契約は早めに成立させたいと考えています。
これは,売主と買主の法律上の地位を早めに確定させるためです。
この場合,契約の方法は停止条件(ポイント1),解除条件(ポイント2)をそれぞれ設定したうえで,特約(ポイント3)も設けるこことになります。
サラッと書いちゃいましたが,不動産屋を仲介として取り交わされる契約書の中は,さきほどの停止条件や解除条件,所有権移転の特約など聞き慣れない言葉はイヤ というほど出てきます。
そんなに出てくるからには,用語を早めに理解しちゃったほうが楽ですよね。
ということで,条件付きの契約とは,どういうものなのかというところから説明してみます。
条件付きの契約とは,契約の時点では発生するかどうかが不確実な事実について,
契約の成立条件(停止条件=ポイント1),解消条件(解除条件=ポイント2)にしておくことです。
では,今回仲介する中古住宅の売買契約のケースでは,なにが不確実な事実というと
A『契約をむすんだ後での買主から売主への手付金の提供』
B『買主が物件を購入するための代金を,金融機関から住宅ローンとして融資を受けられるか否か』
の2点になります。
Aは停止条件(ポイント1)といいます。
冒頭でも述べましたが,今回の仲介は,物件の引き渡し時期が相当遅れる予定です。
そのため,物件の売買契約を仮に成立(売主と買主の『売ります』,『買います』の意思表示を契約書という書面で立証しておく)させ,買主さんから売買代金の一部を手付金として提供してもらうことを契約の成立条件にします。この間は,契約が仮契約の状態で停止することになることから,停止条件とよばれます。
実際には,契約書を取り交わす場で,買主から売主に手付金の提供を受ける段取りを組みますのでほとんどタイムラグなく契約は成立する予定です。
Bは解除条件(ポイント2)といいます。
『一定の事実が発生したときには契約の効力を消滅させる』,という旨のキャンセル条件を契約につけ加えることです。
さらに,この場合は無条件での解約になるところがポイントです(買主に違約金などのペナルティ代金は発生しない)。
今回の仲介では,買主さんが金融機関の住宅ローンを融資申込みするため,融資がとおれば契約は最後まで問題なくゴールインできます。
反対に融資が断れれば,買主としては「無い袖(そで)は振れない」状態になってしまうため,あらかじめ,《住宅ローン特約による解除》という契約解除条件を設定しておくことが必要です。
実際問題としても,融資の可否によっては罰金(違約金)が発生するかもしれないならば,ギャンブルをするようなものですから,だれも怖くて,買主希望者として手をあげられないですよね(汗)。
最後に,『特約(ポイント3)』とは 契約当事者となる売主,買主の間で取り交わす特別な約束のことです。
私人間の契約の効力については,原則的に民法という法律が適用されます。
ただし,例外として特約を取り決めている場合は,特約の取り扱いが優先されます。
原則的に,所有権(物に対する権利)は契約当事者双方の『売ります』,『買います』の意思表示があった時点から移転することになります(民法第176条)。
これは,単純にいうと,どういうことでしょうか・・・・・
なんと!!法律上(民法)の規定では,口頭(当事者の会話)の意思表示のみで,所有権は移転するんです!!
法律では,「契約書を作成しないと契約は成立しないよ」という規定にはなっていないんです。
でも,売主の立場からしたら『代金全額,耳をそろえて受け取ってからじゃないと,怖くて物件を引き渡せるか!!』,ですよね・・・(汗)。
そのため,『代金を全額ちゃんと受け取った時点で,所有権をあなたに移します』という,当事者間の特別な約束(特約)として契約を取り交わすのが一般的です。
こうすることで代金の支払いを受けていない契約時点(契約書の取り交わし時点)では,売主から買主にまだ所有権が移転しないように留保することになります。
次回は,聞きなれないと思いますが,《手付金保証制度》についてお話します。