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Q8 離婚後に,任意売却はできますか?

離婚後の任意売却

離婚後における,任意売却

離婚後の任意売却

A8 

 任意売却は可能です

ただし,多くの場合は別れた配偶者から同意や協力を取りつける必要があります

 なお,住宅(土地も含む)が夫(または妻)の単有名義なのか,はたまた元夫婦での共有名義かで手続きも変わってきます

 また,財産分与(民法第768条)が完了しているか否か,夫婦の一方が住宅ローンの連帯保証人(民法第454条)となっているか否かによっても多少変わりますのでケースごとに解説していきます

 財産分与とは

 婚姻中に夫婦が協力し合って取得した財産は,その名義を問わず,実際には夫婦の共有財産です

 よって,離婚に際しては,財産に対する実質的な共有関係を解消して精算することが必要です

 この実質的な共有関係を清算するための制度が財産分与です

 財産分与の方法は

 離婚の際における,実質的には夫婦の共有であるプラス財産の総額から実質的には夫婦の共有であるマイナス財産の総額を控除した残額を,夫婦が一定の比率で分け合うことになります

 したがって,プラス財産の総額よりもマイナス財産の総額が大きければ,財産分与の対象となるべき財産そのものが存在しないことになります

 財産分与における一切の事情とは

 ところで,財産分与の際には分与の対象となる財産の額だけでなく,「その他一切の事情(民法第768条第3項)」を考慮する必要があります

 この観点からすれば,夫婦関係が円満なときに支払った住宅ローンの返済原資は財産分与の対象となりえた財産ということになります

 逆に離婚成立後,夫(妻の場合もあり)が住宅ローンの返済を継続していた金額部分については,財産分与の対象外として自宅用の土地建物の所有権を一部ではありますが,夫(または妻)が完全に取得していると考えることも可能でしょう

 任意売却における離婚配偶者の同意・協力の必要性

 任意売却しようとしている土地・建物の登記名義が,元夫婦として共有名義になっていた場合他方配偶者から任意売却行為に対しての同意を得る必要があります(任意売却しようとする夫(または妻)が,単独名義になっている場合同意は必要ありません)

 よって,同意を得るための準備作業として,財産分与の手続きが完了していない場合,すみやかに離婚前と離婚後の住宅ローンの返済割合を明らかにし,離婚前の返済原資分(マイナス財産として計上)と現金,預金等のプラス財産を清算してみることが必要です

 その結果,財産分与すべき価格があった場合,その支払いを一括で行い,または分割返済することを離婚当事者双方の同意によって約することが先決になります

 住宅ローンの残債務(マイナス財産)が,プラス財産を上回った状態の場合(オーバーローン)は, 離婚前の財産分与の対象財産がなかったものとして,当事者間において明確にさせます

 その上で,「元夫婦のマイナス財産」を整理するために,登記共有名義人として同意・協力を得ることになります

 新しい買主に登記上の名義を移転する際には,売主の一方として協力(印鑑証明書,登記識別情報の提供など)してもらう必要があるためです

 別れた配偶者の一方が,住宅ローンの連帯保証人だった場合

任意売却の際には,結構な頻度で発生する問題です

 まずは,連帯保証人の法律上の扱いを確認することが必要です

 《保証人と連帯保証人の違い》

 保証人も連帯保証人も,本来の借主(以下,「主債務者」といいます)の代わりに債務を履行する(借金を支払う)点ではかわりがありませんが,保証人は,主債務者が借金を払えないときに初めて責任を負い,その意味で二次的(間接的)な責任を負うのにすぎないのに対し,連帯保証人は「借主と同じ立場」で責任を負います

 その意味で一次的(直接的)な責任を負うことになります

 以下に,保証人と連帯保証人の責任の違い,および任意売却を実行するにあたって保証人(連帯保証人含む)との連携すべきポイントについてまとめました

保証人連帯保証人
銀行が,住宅ローンを組んだ夫(または妻)を差し置いて,先に保証人である妻(または夫)に住宅ローンの返済を求めてきた場合保証人は,銀行に対して「先に,別れた夫(または妻)に請求してくれ」と主張することができる=催告の抗弁権(民法第452条)催告の抗弁権は有しない(民法第454条)
銀行が住宅ローンを組んだ夫(または妻)より先に,保証人の妻(または夫)に強制執行(例えば給与に差し押さえ)をかけてきた場合銀行が,保証人の持っている財産や債権(一般的には給与債権)に強制執行(差押)を申し立てたとき,まずは主債務者である夫(または妻)の財産や債権に強制執行してくれと主張できる=検索の抗弁権(民法第453条)検索の抗弁権は有しない(民法第454条)
任意売却を行う場合,予め保証人(連帯保証人含む)と確認しておかなければならないポイント保証人が銀行の求めに応じて返済をおこなう限り,期限の利益を喪失できないので,任意売却に移行することができない連帯保証人が銀行の求めに応じて返済をおこなう限り,期限の利益を喪失できないので,任意売却に移行することができない

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