ハッキリ,クッキリ,サッパリでござる
ちょっと,記事にするのが遅れましたが,一昨日,朝刊を見ていると・・・
約款,敷金ルール明記-民法 債権分野で大改正案-消費者保護へ法的根拠
という見出しを発見!
内容は
法務省は26日,インターネット取引など経済活動の多様化を背景に,契約ルールを定める民法の債権分野に関する改正原案を,法制審議会(法務大臣の諮問機関)の民法部会に提示した。
賃貸住宅入居の際に支払う敷金の返還ルールも明記し,消費者保護のための法的根拠を設ける。
法制審議会の答申を経て,来年の通常国会に民法改正案を提出して早期成立を目指す
ということで,民法という法律の債権分野(契約)の大改正だそうです。
民法が制定された1896年(明治29年)以来初の大幅な改正だそうですよ。
参考までに,この年の出来事といえば
アテネで第1回オリンピック開催
第二次伊藤(博文)内閣総辞職
オリンピック最初の年もすごいですが,旧1000円札のモデル(伊藤博文)が生きていた時代というのがスゴイです。
幼稚園や小学校のころ,お年玉で伊藤博文(1000円),岩倉具視(500円)をもらうとワクワクでした。
※ちびっ子,若者はお父さん,お母さんに聞いてみましょう。
これだけ,はるか昔に作られた法律です。
敷金の細々とした返還ルールなどは,あまり意識することがない大らかな時代だったのでしょうか・・・
近年は,個人の権利義務の意識が非常に高まっています。
これに伴い,アパートなどの退去の際に,契約条項上いまいち明確とされていない原状回復義務の範囲について揉め,全国で民事裁判が度々おきています。
行政機関の指導方針に目をむけてみると・・・
・国土交通省では『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(改訂版)』を出して,借主負担の一定の目安を示しています。
・東京都では賃貸住宅紛争防止条例※を定めています(俗に東京ルールと言っています)。
※原状回復等に関する民法などの【法律上の原則】や,判例により定着した考え方を宅地建物取引業者が説明することを義務付けたことで, とくに首都圏で敷金返還に関するトラブルが大幅に減少したと言われています。
ただし現状では,国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」,東京都の賃貸住宅紛争防止条例とも,契約関係の根拠法である民法に明記されていない部分については【法律上の原則】として,言い換えると法律の解釈論として指導・助言するにとどまっています。
原状回復義務の範囲が法律として明記されると,宅地建物取引事業者としても,契約当事者間である貸主,借主に法(民法)を遵守させるという拘束力を持つことができます。
宅地建物取引業者としては,法律に明記されているからこそ,貸主・借主に説明(時には説得)が容易になると思われます。
これで,ハッキリ・クッキリ・サッパリでござる
最後に,法改正(予定)により,賃貸住宅退去時の費用負担を表でまとめておきます。
事 例 | 費用を負担すべき者 |
---|---|
日照によるカベの変色 | 貸し手が負担 |
ポスターなどの画びょうの跡 | 貸し手が負担 |
冷蔵庫、エアコンによる壁の黒ずみ | 貸し手が負担 |
カギの交換 | 貸し手が負担 |
ペットによる壁や柱の傷 | 借り手が負担 |
タバコによる床のコゲ跡 | 借り手が負担 |
家具の移動による床の傷(ただし,家具の設置跡は自然損耗) | 借り手が負担 |
以上,エラそうに解説してみました。
その前に当社の場合,仲介依頼を増やす努力が必要なのは言うまでもないことであります。
サッパリでござる・・・