不動産(土地)価格査定のヒミツ(その3)
むつ市内の不動産(土地)価格査定方法の解説も,いよいよ大詰めです。
いままで二回にわたって,土地の査定(売出)価格の積算方法を解説してきました。
土地の売出希望価格,査定価格,売出価格の関係や,路線価,公示価格,固定資産税評価額といった査定価格の指標となるべきものを説明してきました。
最終回は,これらの指針価格を組み合わせて,実際に査定価格を出してみたいと思います。
査定サンプルは,当社事務所の敷地(むつ市苫生町一丁目100番1の土地,以後「査定地」といいます)です。
むつ市の場合,路線価が示されている場所というのは,都市計画区域内かつ用途地域が指定されているエリアになります。査定地はどのあたりかというと・・・・
このように,都市計画区域内,用途地域は準工業地域となっていますので路線価が設定されている地域であることがおわかりになると思います。
路線価図で路線価を確認すると,1平方メートルあたり12,000円となっております。
この路線価ですが,路線に接続している各土地がすべて同じ路線価になるわけではありません。
- 土地の奥行き(道路から極端に奥行きのある土地は使いずらい)
- 土地が何方路接道しているか(角地は二方路,または三方路となります)
- 道路に接道している間口の広さ
- 不整形地(土地の形が三角形など,いびつな形)
- がけ地(使いずらいというより,単純に怖いですよね)
などの要素を加味して,路線価を増減補正します。
今回,補正率は割愛しますが,国税庁のホームページに路線価補正率として各表が掲示されていますので,興味がある方はご覧ください。
ちなみに査定地は極めて標準的な立地条件(一方路,間口12メートル,奥行き18メートル,整形地)であるため,路線価の増減補正はありません。
ということで,路線価12,000円を坪(3.3平方メートル)に換算すると39,600円になります。
路線価は公示価格の8割程度で設定されていますので,上記金額に1.25倍すると公示価格相当額として算出することができます。
39,600円×1.25=49,500円
49,500円が公示価格相当額として算出しました。
しかし,査定作業は,これで終わりではありません。
公示価格相当額は,その土地を更地(さらち)として見た評価額です。
よって,水道の配管引き込み済みの土地と,引き込みのない土地(更地)との評価価格の調整をする必要があります。
敷地に水道管の引き込みがなされておらず,新規に引き込み措置する場合は,引き込み管の長さにもよりますが20~30万円前後の工事費が別途かかってきます。
そのため,査定地は水道管引き込み済みでしたので,公示価格相当額にプラス査定します。査定地は80坪ですので・・
300,000円(水道設備相当額)÷80坪=坪3,750円を公示価格相当額に加算します。
その他のプラス査定要素として,接道する道路が基準幅より広い場合も加算要素です。
基準幅とは建築基準法上求められている道路幅員4メートルに比較してということです。
2メートル幅が増えるごとに公示価格に5%加算が相当と考えます。
49,500円×0.05=2,475円
以上で,査定地の価格調整が完了しましたので,合計金額を確認してみましょう。
49,500円+3,750円+2,475円=55,725円
これが,当社事務所敷地の査定価格です。あくまでサンプルではありますが。
この査定価格を元にして,エリアの人気度によって多少(一割程度のプラスマイナス)の「色」をつけて売出価格が決められているというところです。
これで,土地の査定方法は最終回・・・・と言いたかったのですが,路線価のない評価倍率表で査定する地域の解説が残っているので,もう一回つづくということで(汗)