不動産トラブルQ&A(アパート編)

 

Q

アパート賃料を値上げしようとしたところ,賃借人(住人)から拒否されました。

どうしても賃料を上げる必要があるため,訴訟を提起(裁判)したいと考えていましたが,調停というものを経たあとでなければ訴訟はできないと聞きました。

調停とはどのような内容のもので,どのような手続きが必要なのでしょうか。

また法的効果はどのようなものなのでしょうか

 困っている大家さん

 

 

A

借地借家法では,賃料(家賃)の増減額を請求する事件は,まず調停を経てからでないと訴訟ができないと定められています。

これを調停前置主義といいます。

調停の申立ては,アパート(不動産)を所在地を管轄する簡易裁判所に行います。

申立て後,調停期日が定められますので出頭し,非公開のもとに手続きが進められます。

裁判所

調停が成立して調停調書が作成されたときは,確定判決や裁判上の和解と同一の効力が認められ,強制執行が可能になります。

なお,調停が不成立に終わった場合に,あくまで賃料の増減額を求める場合は,訴訟を提起するほかありません。

 

『解説』

平成4年の借地借家法の施行によって,賃料増減額請求(借地借家法第11条,同32条)は,訴訟提起に先立ってまず民事調停を申し立てなければならないことと定められました(民事調停法第24条の2)。

民事調停は,裁判官のほか民間人2人によって構成された調停委員会(民事調停法第5~8条)が,話し合いを斡旋します。こうして,当時者の話し合いを進めるなかで互譲(お互いに譲り合う気持ち)により合意形成を図っていきます。

他方,合意に至らなかった場合で,あくまでも賃料増額の方向で解決を望むのであれば,訴訟を提起するほかないところです。

アパート

この場合は,調停不成立の後2週間以内に提起するのであれば,調停申立てのときに訴訟提起があったものとみなされます(民事調停法第19条)ので,訴訟申立ての際の費用を節約できることになります。 

 

【参照条文】

借地借家法

 
第11条 地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
 
2  地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
 
  地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。
 
第32条  建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
 
  建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
 
  建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

 

民事調停法

第19条  第14条(第15条において準用する場合を含む。)の規定により事件が終了し、又は前条第四項の規定により決定が効力を失った場合において、申立人がその旨の通知を受けた日から2週間以内に調停の目的となった請求について訴えを提起したときは、調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。

 

第24条の2 借地借家法(平成3年法律第90号)第11条の地代若しくは土地の借賃の額の増減の請求又は同法第32条の建物の借賃の額の増減の請求に関する事件について訴えを提起しようとする者は、まず調停の申立てをしなければならない。